1.地域限定職導入の必要性
日本では、夫婦世帯全体の7割が共働きであり、それに伴って子どもの教育、親の介護など様々なライフイベントの理由で、転居を伴う転勤が困難な社員が増えています。
また、全国展開している企業において、転勤を命じられた社員が、それを機に退職を申し出るといったケースも非常に多くなっています。 こういった問題は地域限定職の選択肢を用意することによって、容易に解決することが可能ですが、地域限定職コースの設定に際しては以下のような留意すべき点があります。
2.地域限定職コース設計におけるポイント
1点目は、地域限定職と地域非限定職に賃金格差をつけることです。
転勤という精神的負荷を抱えながら仕事にあたっている社員と、転勤の負荷がかからない社員の処遇が同じであっては、当然そこに不公平感が生じることになります。
一般的には10%程度の賃金格差を設けるケースが多いようですが、企業の本社所在地がどこであるかによっても、社員の地元志向の強さに差があります。そのような社員感情も考慮に入れた上で賃金格差の水準を決定することが大切です。
2点目は、昇格・昇進の上限を設定することです。
ある社員が地域の拠点において地域限定職を選択した場合、最高等級、最高役職までキャリアアップできる仕組みを残しておくと、その職場において「望まれない権力」が生まれる可能性があります。
地域に根差して長期間活動するという観点からはメリットになりますが、本社からの目が完全に行き届かない職場での不正やハラスメントなどの発生リスクを考えると、デメリットの方が大きくなる可能性が高いと言えます。
そのようなことから、昇格・昇進については、最高等級、最高役職未満の設定とすることが重要です。