1.等級制度の種類
以前主流であった、社員が保有する能力を基準とした等級制度(職能資格制度)や、現在主流になりつつある、仕事の内容を基準とする職務役割基準の等級制度があります。
また、欧米にはジョブグレード(職務等級)と言う考え方があり、個々のポスト(担当)について職務記述書を作成し、それをもとに職務価値を序列化し、同程度の職務価値をまとめて階層化するというものです。
2.ジョブグレード(職務等級)について
ここで少しジョブグレードについて解説を加えておきます。
職務記述書とは、「職務の目的」「担当する職務や責任範囲」「求められるスキル・知識」「権限」などを詳細にまとめた書類です。
そして職務価値の序列化とは、「必要とされる知識・経験」「責任の大きさ」「会社全体へ与える影響の大きさ」など、複数の評価軸を設定してスコアリングを行うことを言います。
このようにして算出された点数を「スコア400点から450点はグレード3」というような基準を設定して当てはめていくことにより、それぞれのポストがどのジョブグレードに該当するか決定していきます。
報酬についてはこのグレードに応じて決定されることになりますが、職務記述書のメンテナンス、ジョブグレードの洗い直しには人種差別に対する配慮等から、公平性の確保に向けて膨大な労力を費やしており、人事部門の大きな負担となっています。
このような負担を軽減するため、また担当する職務の変更をある程度柔軟に行えるよう、細分化すると30以上にもなるジョブグレードを、複数のグレードを括って等級化する(ブロードバンド化)対応をする企業も増えています。
ジョブグレード制度と職能資格制度の長所、短所をまとめると以下のようになります。
職能資格制度で発生した問題、現在の経営環境、米国におけるジョブグレード制の長所、短所も考慮すると、今後日本の中小・中堅企業にふさわしい等級の基準は、米国のように職務(ジョブ)や役割を中心としながらも、厳密なジョブグレード(職務等級)制ではなく、ゆるやかな制度にすることが妥当であると考えられます。