ジョブ型雇用は、一昔前では考えられないような雇用形態ですが、人事制度はこれまでも経営環境変化の影響を受け、幾度となく変遷を繰り返してきました。
1.人事制度の変遷
戦後の混乱期を経て、日本は1960年頃から、毎年10%前後の成長を遂げる高度経済成長時代へと突入し、戦後のベビーブームで生まれた世代が労働市場に出てくるようになりました。
しかし、1970年代には2度のオイルショックによる経済失速を受けて、日本企業の多くは人件費のコントロールとポスト不足に目を向け、職能資格制度(能力主義)に焦点を当てるようになります。
1992年頃までの日本は安定的な経済成長を続け、世界第二位のGDPを維持していましたが、いわゆるバブル崩壊が日本を襲い、経済成長率は一転マイナスとなりました。デフレ時代が到来し、以降も2008年のリーマンショック、2011年には東日本大震災が日本を襲い、経済は危機的状況を迎えます。この経済失速を受けて、人件費をコストとして捉えて削減したり、短期的な業績を追い続けたりする風潮のために中期的な戦略思考が取られない、組織風土が悪化するなどの成果主義の弊害が表面化することとなりました。
2.職務主義の人事制度が主流へ
しかしながら、2012年から今日までは、以下の理由に対応するために仕事や役割、責任に焦点を当てた職務主義の人事制度が主流となりつつあります。
- 能力主義の問題点、成果主義の問題点を解消
- 労働力人口減少下での採用競争に対応
- 国際人材を取り込む
- 総額人件費をコントロールする
- IT人材を中心とした専門職を高処遇で迎える
このIT人材のように、専門的スキルを持つ人材の採用、活用のためにジョブ型雇用を導入する企業が増加傾向にあります。