1.退職金制度廃止する手順
- 従業員や労働組合に合意してもらう
- 就業規則を変更する
不利益変更とは、その会社で働く人の条件を今よりも不都合なものへ変えることで、退職金制度の廃止もこれに当たります。不利益変更は、条件を変えなければ倒産してしまうなど、よほどの理由がない限り企業の都合で勝手に変えることができません。
2.退職金制度廃止のポイント
- 退職金制度廃止時の精算
- 従業員の意欲低下対策
- 専門家・社労士に相談する
退職金制度の廃止は、会社に多大な影響を与えます。特に従業員に与える影響が大きいので、廃止の手続きは慎重に行う必要があります。
3.退職金制度廃止のための精算
退職金制度廃止時の精算は、「廃止する時期が決まった時点」で発生している退職金を計算して支払うことが基本になります。税法上は退職所得ではなく、年間給与所得に含める形で課税されるので注意が必要です。ただし、必ずしも年間給与所得になるとは限らないので、税務局への確認も必要です。 退職金を企業年金などで用意している場合は、それぞれ異なる対応が必要なため、運用受託機関と相談しましょう。
4.従業員のモチベーションの維持
退職金制度の廃止は、従業員の仕事への意欲が下がる要因になります。従業員の意欲低下は、生産性の低下、離職率の上昇、業績の悪化につながります。 廃止する際は、従業員のやる気が下がらないように退職金の代わりとなるものを用意する、または納得のできる十分な説明が必要です。また、後々揉めないためにも退職金制度廃止の承諾を得る際に、書類の記入を取ると良いでしょう。
5.専門家や社労士のアドバイスを求める
退職金制度廃止は、従業員の人生設計を狂わせる要因となるため、訴えられることもありえます。そのため、こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、できる限り専門家や社労士からアドバイスをもらいます。
手間も時間もかかりますが、制度の廃止を強引に認めさせるような行為は強迫したと見なされ、裁判になった場合不利になる可能性があります。 専門家のアドバイスの元、まずは従業員が納得できるように誠実な対応・説明を行いましょう。