確定拠出年金 | 確定給付企業年金 | |
将来受け取る額 | 運用実績によって変動 | あらかじめ確定 |
資産の管理 | 加入者 ※加入者が運用リスクを負う | 企業 ※企業が運用リスクを負う |
商品の変更 | できる | できない |
離職や転職の時 | 年金資産の持ち運びができる | 退職一時金の移管ができる |
確定拠出年金(企業型)は企業年金の一つで、従来からある確定給付年金に加えて、新たな選択肢として導入された制度です(確定拠出年金には「個人型」もあり)。 確定拠出年金では、老後に受取る年金額が資金(掛金)の運用実績により変動します。また、個人ごとの専用口座で年金額が管理され、いつでも自分の年金額を把握することができます。確定拠出年金制度のスタート後、確定給付年金から移行する企業もあり、加入する企業・個人の数は年々増加しています。
1.資産の運用管理の違い
確定拠出年金は、個人(従業員)が自己責任のもとに運用管理します。運用実績により受取る年金額が変動しますが(掛金額は保障)、会社には不足分を補うリスクがありません。 確定給付型年金は、会社が独自に運用管理します。運用実績により資金が不足した場合は、会社が不足分を追加負担するリスクがあります。
2.離職時の資金持ち運び
確定拠出年金は、積立てた掛金の持ち運び(ポータビリティ)が可能です。確定給付型年金は、積立てた掛金の持ち運びが十分に確保されていないという課題があります。
3.確定拠出年金の「企業型」と「個人型」
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2つのタイプがあります。企業型は、会社が主に退職金制度の一環として導入するタイプになり、加入者は従業員で、掛金(拠出金)は会社が負担します。平成24年1月から施行されたマッチング拠出制度により、社員個人による掛金の追加が可能になりました。
個人型は、国民年金第1号被保険者(自営業者など)と、企業年金を導入していない会社の従業員が個人で加入し、掛金(拠出金)も個人負担です。 法改正により加入範囲が拡大され、平成29年1月からは企業年金のある会社員、公務員、専業主婦も加入可能になりました。
4.確定拠出年金のメリット・デメリット
確定拠出年金は、拠出額が決まっており、社員一人ひとりが運用する年金になります。加入者のメリットとしては、金額を設定し、無理なく始めることができるなど、個人別で資産管理ができることです。 デメリットとしては、運用実績に基づき将来の受給額が決まることです。せっかく確定拠出年金に加入したのに、選択した銘柄の利回りが悪いと将来の受取額を期待できません。マネーリテラシーの向上が必要となります。さらに、老後資金の運用になるので、途中で拠出金額を上げたり下げたりすることはできますが、60歳まで払い出しはできません。
5.確定給付年金のメリット・デメリット
確定拠出年金は、給付の算定方式が決まっています。加入者側のメリットとしては、将来定まって退職金が受け取れる安心感があります。また中途退職時に受給も可能です。デメリットとしては、制度自体の理解が難しいことや確定給付年金の詳細が開示されにくいことがあげられます。 また企業が倒産した場合、受け取りが困難になる可能性があります。