1.個人関連スキルの向上方法
リーダーにとっての業務遂行とは、「日々、発生する問題を解決すること」と言い換えることができます。売上や利益、コストまたは、対顧客や取引先、上司、部下、メンバーに関することなど様々な問題がリーダーに対して発生し、それらを速やかに処理しなければなりません。
こういった問題解決に対して、現状分析や問題解決など、5つの実行プロセスを身につけることが個人関連スキルの向上につながります。
2.組織関連スキルの向上方法
組織関連スキルが高いリーダーは以下のような特徴があります。
- 自らが目標達成に向けてまい進し、同時に周囲の人も巻き込んでいる
- 率先垂範を示しながら、適切な方向に導いている
- 部下に対して、目標や必要性などを十分に話して、理解させている
このようなリーダーは、目標達成に向けて部下やメンバーに指示・命令を行い、相手の意向も受け入れて、部下やメンバーが満足するように影響を与えられる存在といえます。
組織関連スキルを向上させるためには、「双方向のコミュニケーションを図る」、「奨励(エンパワーメント)を行う」という2つの手法があります。 経営幹部や育成担当者は、この2つの手法を理解して、リーダーに対して指導し自らが組織を率いる立場として、あるべき姿を見せることも肝要です。
①双方向のコミュニケーションを図る
業務が多忙であったり、時間的な余裕が無い状況でのコミュニケーションは、どうしても一方的になりがちです。その結果、互いの信頼に対するギャップが生じてしまいます。しかし、相互理解を期待しすぎてしまうと、反対にトラブルも招きやすくなるため、注意が必要です。
双方向のコミュニケーションを図るポイントは以下の通りです。
- 力強い言葉
自分の思いや方針は、力強い言葉で伝える。 また自分の考えを機会あるごとに繰り返し述べ続ける。 - 意欲と情熱
意欲と情熱を持って、メンバーを牽引する。 - 情報をオープンに
必要な情報は全て提供する。共有化することが各自の当事者意識を促す。 - コーチングマインド
自ら考え行動を促すためにコーチング手法を習得する。 - 率先垂範
自ら先頭に立って、意欲と志を行動で示すこと。
②奨励(エンパワーメント)を行う
部下やメンバーの関心ごとの1つに、「自分の仕事に対して、上司がどう評価しているのか」、「自分は上司にどう思われているのか」ということがあります。つまり、部下やメンバーは上司やリーダーに対して認めてほしいという思いを強く持っているのです。
こうした、部下の意欲やモチベーションを高めるためには、仕事のやり方や指導・支援・奨励をきめ細かく行うことが重要となります。ほんの小さな一言を添えるだけで、格段の効果が期待できます。また、奨励は「褒める」や「承認」にも言い換えることもできます。
部下やメンバーのモチベーションを高める方法には以下のポイントがあります。
- 挑戦的な目標
ワンランク上の仕事に挑戦させ、業務を任せる。 - 過程も重視
結果だけでなく、過程も重視し、自信を持たせる。 - 達成感
チャレンジ要素を盛り込み、達成感を高める。 - 責任と権限の付与
失敗のリスクを回避するばかりでなく、部下の可能性を信じて必要な遂行権限と責任を与える。 - 支援と援助
必要に応じた、支援や援助を行い、当人が独立できるまでサポートする。 - 報告と指導
部下には適宜、報告を求める。指導する際には、個別にOJTを中心に行う。
以上の2つの手法を用いることで、リーダーとしての組織関連スキルは向上します。これらのスキルはすぐに身につくことはないとしても、日々継続して意識的に実践することで、徐々に自分流のマネジメントスタイルが出来上がってきます。
また、経営幹部や育成担当者が定期的にチェックし、その結果をフィードバックし改善を求めることによって、リーダーのスキルアップが確実なものとなります。
参考:篠田泰和著「管理者養成マニュアル」