1.過去多くの企業が導入した能力主義人事評価の課題
100人を超える規模の企業では、多くの場合何らかの人事制度を整備しており、こういった規模の企業では職能資格制度をベースにしているケースが多く見られます。
職能資格制度は高度成長時代から、安定成長時代への変化を受けて、多くの企業に受け入れられた人事制度です。
ポスト不足、人件費コントロールの必要性から、年功序列の昇進や全員一律の昇給を廃止して、能力評価によって昇給に格差をつけ、昇進の代わりに資格等級のアップ、いわゆる昇格によりモチベーションを維持しようとしたわけです。モチベーション維持の観点から、昇格のステップを増やすために、資格等級の数が多く設定されました。
その結果、資格等級の定義があいまいになり、昇格の審査を厳密に行うことができなくなったことで、年功的な制度運用に陥ってしまった企業が数多くありました。
2.現代にマッチしない職能資格制度
職能資格制度を導入してから20年、30年以上経過している企業も多く、経営環境の変化と制度のミスマッチが起こり、制度疲労が発生しているケースもよく見られます。
「賃金相場の上昇と賃金表の整合性が取れていない」「上位等級への人員の偏在」「管理職手前の等級へ多くの社員が滞留してしまう状況」「基本給連動型退職金による退職金水準の上昇」「保有能力の陳腐化による人材の劣化」「総額人件費の高騰」など、さまざまな問題が起こっているのです。