1.段階号俸表
公務員の俸給表の考え方をベースに、号俸のピッチを細かく設定したものが段階号俸表と呼ばれ、職能給表の多くはこの形式を採用しています。
昇給ピッチ(標準昇給額)を決め、その昇給ピッチを一般的には5で除した金額を1号俸として、人事評価の結果に応じて、何号俸昇給するかというルールを定める賃金表です。
〇等級〇号俸という表現で基本給表上の場所を表現し、感覚的に位置を把握できるという分かりやすさがある一方で、数字だけが並んだ基本給表が何ページにも及ぶこともめずらしくなく、結果的に社員に対してメッセージ性の低い基本給表になってしまう傾向もあります。
2.複数賃率表
複数賃率表は、〇等級〇号俸という示し方は段階号俸表と同じですが、根本的な考え方の部分が異なります。
段階号俸表では、人事評価の結果が基本給に累積して加算されていきますが、複数賃率表では、前年の人事評価結果が毎年リセットされることになります。つまり、〇等級〇号俸の号俸は、〇年目と読み替えることもできます。
会社にとっては、基本給の上昇を抑制することができるというメリットがありますが、社員にとってはやりがいを感じにくい基本給体系となります。
収益性が低く総額人件費を増やしにくい企業や、営業系の企業でインセンティブ、歩合給を重視するような場合に適していますが、実際にはこの賃金表を使用する企業は限られています。
3.ゾーン型賃金表
現在主流となっている賃金表の形式です。等級別に最低基本給と最高基本給を定め、その範囲内における評価別昇給額を別表で表現する方式になります。
各等級における最低金額、最高金額が明示されますので社員に対してメッセージが伝わりやすいという特性がありますが、逆に基本給の上限がはっきりしますので、シビアな制度と受け止められる可能性もあります。しかしながら、職務や役割を中心とした人事制度構築が進む今日、時代の流れにはもっともマッチした基本給表と言えます。
なお、昇給のランクはS、A、B(標準評価)、C、Dの5段階とするのが一般的です。