明確なミッションとビジョンが存在して初めて目標やターゲット、組織に対するコミットメントが明確になり、組織原動力が向上します。
1.ミッション・価値観
ミッションとは企業の存在意義というように訳されますが、企業内の組織単位でもミッションを設定するのが好ましいでしょう。この部門は企業にとってどん な存在価値があるのか、企業業績にどんな形で貢献していくのかといった使命が明確であれば、その後のビジネスコーチングにおいても一貫性を持ったコミュニケーションが可能となります。
また、価値観については、何のために仕事をしているのかという目的や意義を指しますが、当然従業員によってこの価値観は異なります。しかし価値観はミッションと密接に連動します。価値観がまちまちであれば、それに基づく行動も一貫性がなくなり、上司の意思決定や部下とのコーチングも経営理念と整合性が取れなくなります。従業員は自分の価値観を大切にしながらも、相手の価値観を尊重する受容力を持ち合わせることが、組織原動力を引き上げるために必要なことです。
2.ビジョン
ビジョンというのは、各人の心に思い描かれた最高の状態にある組織の姿です。経営理念よりも短期的でより明確なゴールという形で具体的に記述されます。即ちビジョンの条件は、①測定可能、②達成期限がきまっている、③従業員がワクワクする、といったものである必要があります。
そしてビジョンを達成したら得られることを明確にすることが、個人の自発的な行動を促し、しかも組織のビジョン達成の姿も同時に組織内で共有することで、組織目標と個人目標が連動し、組織原動力となっていくのです。
3.ターゲット
高いハードルを設定し組織の体質を革新するようなゴールのことです。例えば前年比150%を達成するというゴールであれば、既存の組織や体質では達成不可能ですので、組織の革新が必要になります。これを設定した場合には一歩間違えれば組織崩壊に繋がりかねませんので、組織の操縦が難しくなる反面、成功した場合には持続的な競争優位性が確立されていますので、ハイリスクハイリターンな項目といえます。
4.バジェット
予算や年間計画といった定量的な目標です。大抵の企業はこの予算が存在すると思います。ポイントはミッションやビジョンと整合性が取れているかということです。整合性を取るための手法としてビジネスコーチングを用いるのは非常に有効です。
5.コミットメント
ビジョン、ターゲット、バジェットのうち1つを達成するために、個人レベルで行動計画と結果を確約することがコミットメントの定義です。
コミットメントはパーソナルコーチングによって従業員個人が自発的に設定します。自発的に設定することで自発的な行動にもつながります。そしてそれは定量数値で測定可能なものであり、期日も明確にしておきます。しかし、社内でコミットメントを取ろうとしても、上下関係や部門のパワー格差などでなかなか思うように進まないことがあります。その場合はコンサルタントのような中立的な立場の人間を活用すると効果的です。
説明責任は、まず上司が組織の目標や方向性を説明する義務があり、それに対する行動結果の内容を説明する義務の2つがあります。