一般的な権限委譲は、目標(what)だけでなく、業務そのものをそのプロセスも含めて他の人間に引き渡すことだといえますが、エンパワーメントでは、企業の価値観やビジョンに従って上司は追及すべき目標(what)を提示するものの、そのやり方(how)までは提示しないというものです。
つまり、任された側の自由裁量の余地が実際には制限される通常の権限委譲に対し、エンパワーメントではそのやり方そのものを部下に考えさせる点が大きく異なっています。
エンパワーメントは、決して上位階層から下位階層への一方向的な力の流れではありません。エンパワーメントには、必ず「する側とされる側」との間にインタラクションを必要とします。それが一方向的なものであれば、従業員の間には決して参加・関与という感情は生まれないのです。
そういった感情が生まれなければ、彼らから充分なコミットメントを引き出すことは不可能です。エンパワーメントの成功は、従業員からのコミットメントに大きく依存するので、階層間のインタラクションが決定的に重要であるといえます。
また、エンパワーメントという手法が注目されだしたのは、多様化する顧客の要望に応える必要性が認識されてきたためです。
個々の顧客ニーズに応えるためにはマニュアル的なサービスだけでは足りません。社員の自由裁量の幅を広げ、上司の指示を仰がなくても、現場で一人一人の要求に応えなければお客様を獲得できないという側面もあります。
権限を委譲(エンパワーメント)する側から、される側への一方通行の働きかけでは、委譲される側には参画するという意識が発生しにくいものなのです。
また、当然委譲される側には、職務遂行能力が一定のレベルまで達していることが重要です。 そのためにもOJTやOff-JTを体系的なものに整備しておく必要があります。