1.基本給連動型
退職時の基本給に勤続年数別の乗率をかけて退職金額を算出する方法で、最もオーソドックスであり、今でも多くの企業で採用されている計算方式です。ただし、かなり以前から取り入れられてきた計算方式であるため、ベースアップにより制度設計時よりも基本給の水準が上昇し、その結果として退職金の水準も当然高くなるため、対応に苦慮している企業も多く見られます。
また、単純に退職時の基本給と勤続年数別の乗率で退職金が決定されるため、そこに勤続期間を通算した貢献度を反映することができず、昨今の退職金支給意義にそぐわない制度になっているとも言えます。 さらに、賃金体系を見直す際には、退職金にも影響を及ぼすため、思い切った賃金体系の見直しができなかったり、退職金の算定基礎額を抑えるために第一基本給、第二基本給というように基本給を分解したりといったことをせざるを得なくなるといったデメリットもあり、現在では基本給連動型の退職金制度を見直す企業が非常に多くなっています。
2.テーブル式
退職時の勤続年数や、退職時の役職などに応じて、あらかじめ退職金額がテーブル(表)で定められている退職金制度です。
複雑な計算がないため管理が簡単で、基本給と切り離されているため、給与体系の変更を思い切ってできるといったメリットもある一方で、設計の自由度が限られているため、勤続期間全体を通しての会社への貢献度をきめ細かく反映することができないというデメリットがあります。 しかしながら、退職金の水準が高くない企業や、退職金の管理を極力簡素化したいという企業に適していると言えます。
3.外部拠出型
外部拠出型とは、中小企業退職金共済や、業界団体で作っている○○業共済、確定給付年金、確定拠出年金といった、外部運用機関に対して企業が退職金の掛金を毎月拠出して、社員の退職時には、それら外部機関から直接社員に返戻金が支払われるという仕組みのことを言います。
この場合、就業規則、あるいは賃金規程には、「社員の退職後、中小企業退職金共済から支払われる金額を持って退職金とする」というように規定されます。 外部機関からの返戻金が退職金となるため、毎月の掛金をしっかりと拠出しておけば、退職金の負担を考える必要がなくなるため、企業側にとってはメリットが大きいと言えます。また、等級別、役職別などに毎月の掛け金を設定することによって、退職金額にメリハリをつけることもできるため、中小企業にとっては扱いやすい方式と言えます。ただし、中小企業退職金共済は加入できる企業が限られています。