1.人事制度の構成要素
人事制度の基礎となるものは、経営方針や経営戦略です。今後の事業展開の方針にもとづいて、あるべき組織体制や必要な人材像が設定され、これらをもとに人事戦略や人事の方針を具現化していくものが人事制度です。
文字通り「組織と人事は戦略に従う」ということです。
人事制度を構成する要素は、「等級制度」「賃金制度」「賞与制度」「退職金制度」「人事評価制度」「社員育成システム」の6つです。
2.特に重要な「賃金制度」
・「等級制度」
社員が担当する職務のレベルや担う役割・責任のレベルを定義し、その段階を設定するものです。以前は保有する能力を基準とした等級制度が主流でしたが、現在は仕事の内容を基準とするのが主流となっており、職務役割基準で等級ごとの定義を設定します。
・「賃金制度」
基本給と諸手当で構成されます。近年は生活保障的な手当よりも、職務に関係する手当を重視する傾向にあります。
・「賞与制度」
業績とある程度連動した変動給与という位置づけになり、月例給と賞与のバランスも重要です。
・「退職金制度」
留意すべきポイントは、基本給と退職金の関係を切り離すことです。現在では、従来の基本給に連動した制度からポイント制と呼ばれる退職金制度への移行が進んでいます。
・「人事評価制度」
会社が社員に求める期待像を明示して、メッセージを発信する重要な部分です。したがって、自社の特色を生かしたものに仕上げることが大切です。
・「社員育成システム」
今後、企業の競争力の源泉になる人材力を高めるため、人事制度の整備と合わせて、社員を育成する研修システムの整備が重要になります。
以上、人事制度を構築するということは、上記6つの要素を整備することに他ならないのです。
人事制度の構造